薬剤師関連

管理薬剤師向け。保険薬局における薬歴の個別指導対策を経験者が語る。

薬局の皆さん、個別指導受けたことありますか?

私はあります。2017年に新規個別指導、2018年に再指導を受けました。

  • どんなことを聞かれるのか
  • 何を調べられるのか
  • どこに注意すればいいのか

という点について今回は簡単にお話ししようと思います。

大変なことですが、参考にしてなんとか乗り切ってください。

今回書いた内容はあくまでも私が受けた個別指導についてです。

担当や地域によって異なる可能性があるため、責任は負えません。

そういう感じなのかという参考程度にしてください。

個別指導って何?

個別指導、怖いって聞くけど実際何なの?

そう思っている薬剤師の方多いと思います。

端的に言うと、個別指導は、

「ちゃんと仕事しているかを外部の人間がチェックする」

ということです。

ポイントは外部の人間というところ

毎日遅刻してないし、残業も多くないよ、ちゃんと仕事してますー。

という話ではもちろんないわけで。

一応、薬剤師の資格を持った人も含めて、厚生局の人が薬局の仕事をチェックします。

ただ、同じ薬局で働いている人間ではないどころか、普段薬局の仕事をしていない人間が正しいかどうかをチェックするのです。

 

と考えると、どうやってチェックするの?という話になります。

そうです、普段の仕事を知らない彼らには基準が必要です。

そうだよね、患者はそんな感じだよね。Drはこうだし、薬剤師はこんなこと言うよね。

とかっていう知識は一切ないものと考えてください。

基準となるのはもちろん薬機法と薬剤師法

彼らの判断基準は基本的には薬機法と薬剤師法です。

他には薬剤師会で出している説明資料なんかも参考にしています。

私が受けたときは相手の監査の方が保険薬局Q&Aを持っていました。

まだ持っていない方はぜひ受ける前にチェックしておきましょう。

 

聞かれる内容、チェックされる内容とは?

大体の部分は普通に業務していればクリアできます。

どのくらい普通かと言うと、薬剤師として悪いことをしている感覚が無ければ大丈夫という程度です。

処方箋について

処方箋は指導対象患者のほかに、対象月各月100名分の処方箋を持ってくるように言われます。

このとき、保険の種類が複数種になるよう持っていきます。

39や12、15や47など色々な保険の種類の処方箋を選んで持っていくことになります。

それらの処方箋について、

  • 処方箋に調剤者の記名押印or署名がなされているか
  • 調剤録と処方箋の薬剤師名が同じか
  • 疑義照会した内容が記載されているか

が確認されます。

伝票関係

対象月の伝票をすべて提出するように言われます。また、小分けのやり取り等をまとめてある帳簿の提出を求められます。

  • 卸からの伝票がまとまっているか
  • 麻薬伝票は別にしてあるか
  • 小分け先等の記載がしっかりなされているか

という、いたって普通の内容です。

メインは薬歴・薬情・お薬手帳の記載内容

薬歴と薬情、お薬手帳の紙の記載内容についてものすごく聞かれます。

時間いっぱい、担当の監査員とマンツーでチェックです。

事前に審査する患者の連絡が来る

対象患者を向こうから指定されます。

1週間前くらいに半分連絡が来て、残り半分が前日に知らされました。

最初は10名、再指導の時は20名でした。

お薬手帳の記載事項

お薬手帳の記載事項は、

  • 注意書きが書かれているか
  • 個人に合わせた内容になっているか

の2点について見られます。

指導対象となった患者の対象期間に出したお薬手帳をすべて再印刷して持っていきます。

定期薬で2週間に1度のDo処方だとしても全て持っていきます。

 

私が指摘された部分として、

  1. 手帳に薬効を記載する必要は無いから。手帳は注意することだけでいい。
  2. 上の薬で眠気と書いていて下の薬でも同じ記載があるけど、重複してるから不要です。
  3. 運転に注意って書いてるけど、この人運転する人なんですか?運転しないって書いていますよ。
  4. お酒注意って書いていますがこの人お酒飲まないって書いていますよ。

という内容でした。

1については、そうなの?という印象。ちなみに指導後に言われた通りに変更したら患者からクレームが何件かきました。

「何の薬かチェックできなくなった。」「医者に血圧の薬がどれか聞かれたが答えられないし医者もわからなかった。」etc

2~4についてはレセコンの設定が個別に出来ず、各薬剤に対しての注意書きが自動で出てしまうからできていなかったと説明するもお構いなしでした。

薬情の記載事項

薬情の記載事項は、聞いたときに驚きました。

  • 服薬指導で言うべきこと全て(服薬指導で言ったこととみなす)
  • 個別に合わせた指導事項

についてチェックされます。

 

私が指摘された部分として、

  1. 複数個薬効が書かれているがこの人は何の病気で使っているのか
  2. この薬と相互作用が起きるグレープフルーツジュースに関する記載がない
  3. インスリンの使用開始後の期限について記載が無い
  4. 運転・飲酒についての記載(手帳と同じ指摘)

という感じです。

マスタがという理由はもちろん受け付けてもらえません。

薬歴に記載していても関係ありませんでした。

薬情に書いていないことは説明していないとみなされました。

開封後の期限についても説明だけでなく薬情に書きなさいとのことでした。

薬歴の記載事項

改正前のため、継続的なものにというところは突かれませんでした。

電子薬歴でしたが対象患者の対象期間分をすべて印刷して持っていきます。

これが結構な量でした。

 

相手はレセプトを見ながら照らし合わせて指摘してきます。

チェックされる内容は、

  • 記録日、時間、記録者が記載されているか
  • 手帳と残薬を確認したかどうか毎回書かれているか
  • 検査値や血圧、A1cの毎回の記録が出来ているか
  • 表書きがちゃんと埋まっているかどうか

私が指摘された部分として、

  1. 記載日の印字が無い(レセコン設定のミスです)
  2. 手帳、残薬確認の有無についての記載抜け
  3. 血圧やA1cの記載抜け。聴取できなかったら聴取できなかったと書く

というのが薬歴の中身。中身はこれくらいしか見ません。問題は表書き。

  1. 小児の体重が経時的に記録されていない
  2. 血圧やA1cがグラフ化されていない
  3. グレープフルーツジュースを飲んでいるかについて記載が無い
  4. セントジョーンズワートについて記載が無い
  5. 病名が書いていない
  6. 用法が異なるものについて疑義した旨が書かれていない(降圧剤2xとかPL分3とか)
  7. 一包化の理由についての記載漏れ
  8. 副作用歴の症状漏れ
  9. ツロブテロールテープの貼付部位が書かれていないのに疑義していない(?)
  10. 疑義をしたあとも継続して処方されている場合、再度疑義が必要
  11. ランソ等いつから飲み始めているかの記載が無い

などなどです。全ては書ききれませんが、大体読み取っていただけたらと思います。

薬歴の表書きが何よりも大事、肝です。

上記でわかるように薬歴の表書きが一番つつかれます。

レセコンがどうとか、中に書いてあるとか関係ありません。

全ての情報が表書きに集約されているかを問われました。

電子薬歴なんだけど、表書きが最優先

ただ、ここで私は疑問に思いました。みなさんのレセコンがどうなっているかも聞きたい。

電子薬歴の表書きって、最初に表示されますか?

私が使っていたレセコンでは表示されませんでした。

薬歴記載時にも患者メモ等は表示されますが表書きは表示されませんでした。

なので、まずは表書きがどこにあり、どれが反映されるのかを確認してください。

 

私のレセコン、そもそも項目が足りないとも言われました。検査値記入欄がなかったので。

既往歴や副作用歴の症状記入欄が無かったりしたので確認しましょう。

表書き印刷、したことない人はしてみましょう。項目の変更が必要かもしれません。

SOAPはあまりつつかれない。

DOばかりで世間話しかしない人、実際多いです。

なので、記載するようなことが無い時のヒントを簡単に記載しておきます。

  • S…コンプライアンス、体調の変化等
  • O…薬の変化、処方日数、血圧やA1c等の値
  • A…添付文書の副作用など注意事項の写し
  • P…「『添付文書の副作用症状の兆候』を確認すること」

こんな感じです。書くことがある人はいいんです。

毎回眠剤、日数ちょうどで来る人とか、整形シップのみとか。困りますよね。

拠り所だし健康相談は必要な時に受けるけど、毎回じゃないと思います。

世間話だけでも救われている患者さんは沢山います。

でも、薬歴に記載しなければいけない。

あくまでも応急処置ですが上記のような感じで大丈夫でした。

用法違いに注意しましょう

対象になった患者は「全員何かある」と思ってスタッフ総出で確認しましょう。

とりあえず出ている薬の用法を見ましょう。

漢方が食前じゃないとかアダラートCRが2xとかそんなレベルだけじゃないです。

「就寝前なのに夕食後で出ている」

「シナールが長期に継続して(=月余に渡って)処方されている」

「ランタスの単位数が少なくて使いきるのに一か月以上かかるけど期限は?」

など、ほんとに細かく聞かれます。細かく対策しましょう。

異なっている点は疑義しましょう。

といっても難しい部分もあると思うので、病院にまとめて疑義できるよう相談するのも手です。

疑義照会はとてもとても負担になるかと思いますが、頑張ってください。

一度やると勉強にはなります

普段の仕事は円滑にすることが大切。

だから省く部分もあるし、力を入れる点は人によって違います。

けれどもルールを再度知っておくことでより見えてくるところもあります。

普段大丈夫だと思っていたことも実は違ったりということが見えてきます。

対策するのは邪道?

普段の仕事を確認するためのものなのに対策するのは邪道?

私は対策はすべきだと思います。

対策を取って、学んで、対処できるならそれに越したことないのですから。

正しい仕事を知ってもらい、実行してもらうためのものだと思うので、

自ら正解を学び、実行することのどこが悪いの?という話。

テストに対してテスト勉強をすることで知識が定着しますよね。それと同じ。

一夜漬けの話じゃないし、一度対策してその後継続するなら素晴らしいこと。

それでも気づけなかった点だけ指摘を受け、改善すれば簡単に済みますし。

だから、出来る限り全力でがっちり対策することをおすすめしたいです。

できるだけお金を取られたくないというのが本音

いくら払えるの?というのが結局向こうの言いたいことなのかなと受けていて思いました。

でも、現場の大変さを知っているから、「こんなことで」と思えるようなことでお金を取られてほしくないです。

たとえば薬歴系がアウトだと、最悪の場合、遡って薬学管理料を返還することになります。

「やっていないんだから仕方ない」という、お役所ならではの言葉を言ってきます。

なので、少しでもやっていない、確認していないを無くするためにこの記事がお役に立てたらと思います。

薬剤師の皆さん、頑張ってください。

以上、『管理薬剤師向け。保険薬局における薬歴の個別指導対策を経験者が語る。』でした。

ABOUT ME
ハヤエル
北海道札幌市に住む35歳。管理薬剤師経験者。小規模薬局にて3年弱勤め、薬局長として2年弱勤務。 転職活動を経て製薬メーカーで学術担当として勤務。 給与よりも仕事よりも充実した時間を生きることに重きを置いているものの、お金があったほうがいいのは明らか。お金は大好き。のびのびと生きるが信念。
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